日本財団 図書館


4] 複数の市町村の協力

特定旅客施設の利用者が複数の市町村にまたがって流動しており、重点整備地区の範囲が複数の市町村にまたがる場合など、当該市町村が利用者の移動の実態にかんがみ適当であると認めるときは、共同して基本構想を作成し、一体的に推進していくことが重要である。

5] 重点整備地区の境界

重点整備地区の境界は、できる限り市町村の区域内の町境・字境、道路、河川、鉄道等の施設、都市計画道路等によって、明確に表示して定めることが必要である。

3 特定旅客施設、特定車両、特定経路を構成する一般交通用施設及び当該特定旅客施設又は一般交通用施設と一体として利用される公共用施設について移動円滑化のために実施すべき特定事業その他の事業に関する基本的な事項

(1) 移動経路

本事項で対象となる事業は、基本構想において定められる高齢者、身体障害者等の円滑な移動の経路を確保するための事業であり、事業が実施されるおおむねの移動経路を基本構想に記載するものとする。

(2) 特定事業

特定事業としては、具体的には、特定旅客施設及び特定車両について公共交通特定事業、道路等について道路特定事業、信号機の設置等について交通安全特定事業があり、移動経路に応じ各々の事業の特性を踏まえ、必要となる事業について基本構想に記載するものとする。

(3) その他の事業

その他の事業としては、駅前広場、通路等の整備、特定旅客施設又は一般交通用施設と一体として利用される駐車場、公園、緑地の整備等があり、おおむねの事業内容を基本構想に記載するものとする。

(4) 留意事項

市町村は、基本構想を作成しようとするときは、これに定めようとする特定事業に関する事項について、関係する公共交通事業者等、道路管理者及び都道府県公安委員会と十分に協議することが必要である。また、特定旅客施設及び特定車両、道路並びに信号機等については、公共交通事業者等、道路管理者及び都道府県公安委員会に対して、それぞれの特定事業に関する事項について基本構想の案の提出を求めることができるが、これらの案が提出されたときには、市町村は、当該案の内容が十分反映されるよう努めるものとされていることに留意する必要がある。'さらに、事業の記載に当たっては、高齢者、身体障害者等の移動の状況、都市計画や市町村マスタープランの位置付け、事業を実施することとなる者の意向等を踏まえることが重要である。あわせて、関係する公共交通事業者等、道路管理者及び都道府県公安委員会は、市町村による基本構想の作成に協力するよう努めなければならないとされていることに留意する必要がある。

特定事業については、合理的かつ効率的な施設の整備及び管理を行うことを念頭に、特定旅客施設及び特定経路の利用者、利用状況及び移動手段並びに特定経路周辺の道路交通環境及び居住環境を勘案して記載することが必要である。また、交通安全特定事業のうち違法駐車行為の防止のための事業に関しては、視覚障害者誘導用ブロック上への自転車の放置の防止、横断歩道上の違法駐停車の防止等、移動円滑化を特に阻害する違法駐車行為の防止に資する事業が重点的に推進されるとの内容が基本構想に反映されるよう留意する必要がある。

4 3.に規定する事業と併せて実施する土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業に関し移動円滑化のために考慮すべき基本的な事項その他必要な事項

(1) 土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業に関する基本的な事項

重点整備地区における重点的かつ一体的な移動円滑化を図るために実施される3に規定する事業を実施する場合、重点整備地区における市街地の状況や特定旅客施設、一般交通用施設、公共用施設等の配置の状況によっては、これらの事業を単独で行うのではなく、土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業と併せて行うことが効果的な場合がある。

1] 具体的事業の内容

本事項で対象となる事業は、3に規定する事業と併せて行われる面的整備事業であり、すなわち土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業である。

3に規定する事業と併せて行う事業の選択に当たっては、高齢者、身体障害者等の移動の状況、都市計画や市町村マスタープランの位置付け等を踏まえて判断することが重要である。

2] 記載事項

基本構想には、事業の種類、おおむねの位置又は区域等をそれぞれ記載するものとする。

なお、土地区画整理事業の換地計画において定める保留地の特例を活用し、土地区画整理事業と併せて特定旅客施設、一般交通用施設又は公共用施設(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第二条第五項に規定する公共施設を除く。)で基本構想において定められた施設を整備しようとする場合には、それぞれの施設の主な用途、おおむねの位置等についても記載する必要がある。

(2) その他必要な事項

1] 推進体制の整備

基本構想に位置付けられた各種の事業を円滑かつ効果的に実施していくためには、基本構想の作成段階や基本構想に基づく各種の事業の準備段階から、必要に応じ連絡会議を設置するなど、関係者が十分な情報交換を行い連携を図ることが必要である。

2] 事業推進上の留意点

イ 地域特性等の尊重や創意工夫

各種の事業の実施に当たっては、事業効果を高めるため、地域特性等を尊重して、様々な創意工夫に努めることが重要である。

ロ 積雪及び凍結に対する配慮

積雪及び凍結により移動の利便性及び安全性が損なわれる可能性がある場合は、積雪時及び路面凍結時の安全かつ円滑な移動のための措置を講ずるよう努めることが必要である。

ハ 公共交通特定事業に関する公的な支援措置の内容

基本構想に即して公共交通特定事業を円滑に実施するため公的な支援措置が講じられる場合には、その内容を明確にすることが重要である。

ニ 基本構想に即した特定事業計画の作成上の留意事項

公共交通事業者等、道路管理者及び都道府県公安委員会が基本構想に即して特定事業計画を作成するに当たっては、公共交通機関を利用する当事者である高齢者、身体障害者等をはじめ関係者の意見を聴取すること等により、それらが特定事業計画に十分に反映されるよう努めることが重要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION