基準解説
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マニュアル各頁に記載されている「基準」は、交通バリアフリー法第4条第1項の規定に基づき定められた「移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準(以下「バリアフリー基準」という。)」のうち、第3章第4節に規定する船舶に関する事項について、本書を使用する方々の理解を深めるため、便宜的に、バリアフリー基準中の用語を解説するとともにバリアフリー基準条文を分かり易く並び替え書き下したものです。
したがって、「基準」は、交通バリアフリー法に基づいて旅客船をバリアフリー化する際に求められる、いわゆるミニマムリクワイアメント(最低基準)とも言えるもので、整備の際に義務となるものとして位置付けています。
なお、「基準」の記載にあたっては、マニュアル中に掲載する各整備項目について、個々の経路及び設備に対照させて分かり易く解説するために、船舶のバリアフリー基準のうち経路及び設備に限って記載しており、基準適用除外などの経路及び設備以外の規定については「基準」には掲載していないため、これらの規定については、巻末に掲載する関係法令本文をご参照下さい。
以下に、マニュアルの整備項目毎に義務付けられてしている各「基準」を全文記載します。
[基準全文]
1. 用語
このマニュアルにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。また、ここに規定するもののほか、このマニュアルにおいて使用する用語は、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(以下「交通バリアフリー法」という。)において使用する用語の例による。
(1) バリアフリー基準 交通バリアフリー法第4条第1項の規定に基づき定められた、移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準をいう。
(2) 船舶 海上運送法による一般旅客定期航路事業(日本の国籍を有する者及び日本の法令により設立された法人その他の団体以外の者が営む同法による対外旅客定期航路事業を除く。)を営む者が旅客の運送を行うためその事業の用に供する船舶をいう。
(3) 遊歩甲板 通常の航行時において旅客が使用する暴露甲板(通路と兼用のものは除く。)であって、バリアフリー客席と同一の甲板上にあるものをいう。
(4) 船内旅客用設備 バリアフリー便所、バリアフリー食堂、1以上の売店(もっぱら人手により物品の販売を行うための設備に限る。)及び総トン数20トン以上の船舶の遊歩甲板をいう。
(5) 手すり 手すり、握り手その他これに類する設備をいう。
(6) 車いす 日本工業規格「手動車いす(JIS T9201:1998)」をいう。
2. 乗降用設備
船舶に乗降するためのタラップその他の設備を備える場合は、そのうち1以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
(1) 車いす使用者が持ち上げられることなく乗降できる構造のものであること。
(2) 有効幅は、80cm以上であること。
(3) 手すりが設けられていること。
(4) 床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
3. 舷門又は甲板室の出入口
旅客が乗降するための出入口(舷門又は甲板室の出入口をいう。)のうち1以上は、次に掲げる基準に適合するもの(以下「バリアフリー出入口A」という。)でなければならない。
(1) 有効幅は、80cm以上であること。
(2) スロープ板その他の車いす使用者が円滑に通過できるための設備が備えられていること。
4. 車両区域
車両区域の出入口のうち1以上は、次に掲げる基準に適合するもの(以下「バリアフリー出入口B」という。)でなければならない。
(1) 有効幅は、80cm以上であること。
(2) スロープ板その他の車いす使用者が円滑に通過できるための設備が備えられていること。
(3) 高齢者、身体障害者等が車両から乗降するための場所であって、次に掲げる基準に適合するもの(以下「乗降場所」という。)が設けられていること。
1] 有効幅は、350cm以上であること。
2] 車両区域の出入口に隣接して設けられていること。ただし、乗降場所と車両区域の出入口との間に有効幅が80cm以上である通路を1以上設ける場合は、この限りでない。
3] 乗降場所であることを示す表示が設けられていること。