事業報告
モビリティ部門
高齢者や、身体障害者の日常生活を支えるための先進事例調査。
欧米主要国における高齢者・障害者の移動支援システムに関する総合調査
本調査では、欧米の主要な交通福祉先進国の都市内交通システムのアクセシビリティ対策について、調査を行っています。
平成11年度は、アメリカ、カナダの交通福祉先進都市における交通バリアフリーの整備状況、バリアフリー法制度、組織・運営形態、移動支援システム等について、下記にあげる事柄を中心に、文献調査、並びに実態調査を行い、我が国との比較を行いました。
・アメリカ交通のアクセシビリティに関する政策(ADA,TEA21等)
・アメリカのNPO等の取り組み(CTAA,ProjectACTION,MARTA等)
・アメリカ交通事業者の取り組み(MUNI,BART,MBTA,WMATA,Amtrak)
・カナダ交通のアクセシビリティに関する政策
・カナダ運輸省関連組織の取り組み(TDC,CTA)
・カナダ交通事業者の取り組み(GVTA,TransLink,BCTransit)
アメリカ、カナダでは、その広大な国土のために、公共交通ではカバーしきれない地域が多く存在しており、これらの地域における移動手段の確保を重要な課題として取り組みが進められています。例えば、CTAAのように人口の少ない小都市におけるコミュニティー・トランスポーテーションの普及活動、マサチューセッツ州のMARTAのような地方交通事業者が集合したNPOの活動などです。
わが国でも、過疎地域や山間部で公共交通の空白地域が少なからず存在しています。これらの地域では、高齢化が進展しているため、高齢者の日常生活を支えるための地域交通の確保が重要な問題となりつつあります。この問題の解決に際しては、上述のようなアメリカ、カナダの取り組みが参考になると考えられます。
また、アメリカ、カナダ政府、地方自治体、及び非政府組織・機関と、担当者レベルでの意見交換を行い、貴重な情報を収集することができ、大きな成果を得ることができました。
(委員長:秋山哲男 東京都立大学助教授)