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III 肢体障害の種類と介助の仕方、接し方

 

同じ介助の内容でも障害の種別によっては対応や注意する点が異なる場面も出て来ます。そこで、特に介助の必要な4種類の障害について簡単に説明します。

 

1. 筋ジストロフィー症・進行性筋萎縮症

 

筋ジストロフィー症と進行性筋萎縮症は、病気の原因が違います。

進行性筋萎縮症は、進行性の筋肉が萎縮する疾患の総称です。脊髄やそこから出ている末梢神経に障害が起こり、筋肉の萎縮が生じる神経原性と、筋肉そのものに異常が生じる結果、筋肉に萎縮がおこる筋原性に、2分されます。後者の代表的なものが筋ジストロフィー症で、遺伝性です。原因とされている遺伝子とそこに含まれている蛋白に異常が見られます。

筋ジストロフィー症は、臨床経過や病気にかかる筋肉の分布などの違いから、いくつかのタイプに分類されます。最も代表的な筋ジストロフィー症の型がデュシェンヌ型で、新生男児の3,000〜4,000人に1人の割合で発症するとされています。又、先天性の場合と成人してから発病する場合があります。

 

障害の特徴

発病の時期が様々なので、いちがいには云えませんが、幼児期に発症した人と成人してから発症した人とではこの病気に対する考え方も少し違っているようですし、進行性の病気が原因なので、本人や家族も臆病になってしまう傾向があります。

病院生活が長い人や在宅が長い人と、社会人になってから発症した人とでは、自立に対する意識もかなり差が出て来たり、周囲の環境や対応によっても、本人の意識や姿勢が大きく左右されます。また、それによって病気の進行にも微妙に影響があるようです。歩行が徐々に出来なくなり、車いす生活になって来ると、介助を必要とする割合も増えて来ます。

 

ケアの注意点

筋力は落ちていても神経は普通に通っているので、熱いとか痛いという感覚はあります。筋肉の病気なので、運動障害の他、姿勢を保持したり、首の座りを維持する力が弱いことがあるので、少しの力を加えるだけで身体のバランスを崩してしまいます。手動車いすを押す際や身体に触れる際には、先ず一声かけてから行うようにして下さい。肩の力も弱いので、腕を持ったり手を上げるような形での介助は避けるようにします。

筋力のバランスが崩れて来るため身体に変形がみられたり、手足が左右で動き方が違ってきます。その場合、痛みが出て来ることもあるので、衣服の着脱の際は、左右どちら側から行った方がよいか本人によく確認することが必要です。

 

 

 

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