資料編3
警告ブロックの敷設幅拡張効果に関する実験
(要約)
1. 実験目的
視覚障害者がホームから転落する事故の要因には、様々なものがあることが報告されている1)2)。その中でも、「ホーム縁端の警告ブロックに気づかなかった」ことを要因とする転落事故は少なくない。このような事故を減少させる対策の1つとして、ホーム縁端の警告ブロックの敷設幅を拡張し、跨いでしまう確率を減少させたり、足裏とブロックの接触面積を増やすことで検知率を向上させることが考えられる。警告ブロックの敷設幅を拡張すれば、利用者である視覚障害者がブロックに気づく可能性が高くなることは容易に想像できるが、駅ホームの縁端部における警告ブロックについて、その効果の程度を実験によって検証した報告はない。そこで、ホーム縁端の警告ブロックの敷設幅を拡張することによる効果を定量的に把握することを目的として、模擬空間にブロックを敷設しての歩行実験を実施した。
2. 実験実施概容
2.1 実験実施時期
実験は、平成12年11月18日から12月7日の間の平日および土曜日のうち雨天ではなかった14日間に行われた。
2.2 実験実施場所
供用中の駅で実験を実施することは、被験者の安全および他の一般利用者の安全を考慮すると極めて困難である。そこで、東京都国分寺市にある財団法人鉄道総合技術研究所国立(くにたち)研究所の敷地内に新たに屋外実験場を設けて実験を実施した。
2.3 被験者
被験者は「白杖による単独歩行が可能で、日常的に鉄道を利用している年齢15才以上の全盲の視覚障害者」とした。点字毎日(毎日新聞社)の協力による記事掲載に基づく公募と、視覚障害者団体を通した被験者募集の結果、最終的に34名の視覚障害者から実験参加への了解が得られた。
2.4 使用したブロック
実験で使用したブロックは、平成9年から11年の間に通産省製品評価技術センターなどを中心に実施された「視覚障害者誘導用ブロックに関する標準基盤研究」3)4)(以下、文献番号3の実験を通産省製品評価技術センター平成9〜10年度実験、文献番号4の実験を通産省製品評価技術センター平成11年度実験とする)の結果を参考にし、審議が進められていたJIS規格原案にほぼ準拠したものを試作した。