3.4 実験のまとめ
今回の実験および調査から以下のことが明らかになった。
(1) ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅を拡張することで80cm以内に停止する割合は向上し、停止距離(ホーム縁端を知らせるブロックの線路側の端部からの距離)も短縮化された。ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅を広げることで検知性の向上による停止距離の短縮が期待できる。
(2) ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅が30cmの場合では、結果的に最も停止割合の低かった杖なし誘導ありの条件でも、約90%の被験者がブロックから80cm以内に停止できた。
(3) ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅40cmでは、同じ歩行条件(杖なし誘導なし)の敷設幅30cmよりも停止距離が有意に短かくなった。
(4) ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅が60cmになると、100%の被験者がブロックから80cm以内に停止した。
(5) 敷設方法の如何に関わらずにブロックを検知したら停止するという状況においては、誘導ブロックと警告ブロックを組み合わせる異種2列敷設は、警告ブロック60cmと同等の停止距離であった。しかし、敷設方法の意図を取り違えた場合には、ホーム縁端でない場所の誘導ブロックと誤認する可能性があり、実用化に際しては慎重な検討が必要である。
(6) 異種2列敷設は、足下の状況を慎重に探索できる場面では、ホームの内・外方を知らせる効果が十分にあると考えられる。
(7) 白杖を適切に使うことができればその効果は大きい。ブロックを確実に捉えることができれば、ホーム縁端を知らせるブロックよりも内側で停止することが可能である。
(8) 誘導ブロック上を移動してホーム縁端の警告ブロックに進入する場合、ブロックの切替わりではなく、ブロックがなくなることでホーム縁端に来たと判断するケースが少なくない。
(9) 誘導・警告ブロック単体については、ほとんどの人がその存在や意味を知っていた。しかし、具体的な敷設方法については、知らない人が少なくなかった。
なお、今回の実験では、できるだけ定量的・客観的な事実の把握に努めるために模擬的な環境で実験を実施した。したがって、得られた結果を実際の駅環境に適用する場合は、慎重な判断が必要であろう。