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これは、石にそのような回転力を与えると、石は紐から離れて遠くへ飛んでいこうとする力が働き、これを遠心力という。この石が飛んでいかないのは、紐がついているからで、紐が石をその描いている円の中心つまり手元の方に引張っているからで、これを求心力といい、この場合は、遠心力と求心力が平衡していることになる。石をゆっくり回すと遠心力が弱くなり、平衡がやぶれて石は回らなくなる。

ロケットに人工衛星をのせて打上げるとどうなるか。ロケットは、始めは真上(又は斜め上方)に打上げられるが、ロケットの推力にもよるが、地球の重力が働き、その軌道は次第に斜め上方から地球面に平行近くになってくる。こうした状態で、ロケットから人工衛星が打出される。地球の上空はもはや空気がないので、人工衛星は、空気の抵抗で減速されることなく、ロケットを離れたときの速度のエネルギーを永久に保ち続けることになる。こうして、人工衛星は、その速度による遠心力が地球の重力と平衡できる高さと速度エネルギーをもてば、もはや地球にもどることなく、地球を回り続けることになる。ロケットの推進力が不足するとこのような状態は得られず、衛星は地球に落ちるか、地球の大気圏の空気の抵抗で発熱し、燃え尽きてしまい、打上げは失敗となる。

こうして、人工衛星は地球を回るが、それは、地球の衛星である月が地球のまわりを回り、地球や水星、金星、火星、木星、土星などの惑星が太陽のまわりを回るのと同じ原理である(地球の重力圏を離れるように打上げられて太陽を回るものは人工惑星と呼ばれる。)

人工衛星は、各種の天体と同じ法則に従って運行する。その法則はケプラーの法則で三つの法則からなり、各惑星の運動の観測によってヨハネス・ケプラーによって導き出されたものである。この法則を地球と人工衛星という関係で述べると次のとおりになる。

第1法則:人工衛星は地球を中心又は一つの焦点とする二次曲線(円、楕円、放物線、双曲線)を描いて運動する。

第2法則:地球を中心とする衛星の運動は、一定の時間に衛星の動く動径が描く面積は等しい。

第3法則:楕円軌道の長半径の3乗と衛星が楕円の軌道を一周する周期の2乗との比は一定である。

 

 

 

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