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妨害機器から放射される妨害電波は図4・21に示すような種々な経路で被妨害機器に到達する。大別すると空間を伝ばんする放射妨害、電源線や信号ケーブルを伝わる伝導妨害とこれらの組み合わせた経路による場合がある。

周波数は50/60Hzの電源周波数からマイクロ波まで広い範囲の帯域に妨害波が含まれている。妨害波の波形は正弦波やパルス波以外に火花放電による振動波形のようにランダム(不規則)な場合が多い。人体に帯電した状態で電子機器に触れると放電電流が流れてLSI回路が破壊される場合がある。

自動車の点火プラグから発生する妨害波で車内のパソコンが誤動作することがあった。人工衛星の内部には多数の電子機器が集約されているのでお互いに干渉する内部EMCの問題等が起きるようになった。複雑な経路から種々な波形や電力を持つ妨害波が侵入してくるので個々に対応したEMC対策が必要となる。

(A) 電磁干渉(EMI)の測定

図4・22にEMIの測定法を示す。電波暗室のような外部からの妨害波が加わらない場所で測定する。回転台上に被測定機器を載せて回転しながら測定用アンテナで機器から放射される不要電波の強度を測定する。機器とアンテナとの距離は3、10又は30mから選ぶ。アンテナは1〜4mを上下しながらスペクトルアナライザーで受信強度を判定する。

(B) イミュニテイの測定

イミュニティには電源線や信号ケーブル線等を伝わる妨害波に対する伝導イミュニティと、空間から電波として加わる妨害波に対する放射イミュニテイがある。測定項目として

1.静電気放電試験、2.放射性イミュニティ試験、3.ファースト・トランジェント・イミュニティ試験、4.サージイミュニティ試験、5.高周波連続伝導イミュニティ試験が行われてきたが、1997年にCISPR、Pub.24が制定されて新しく6.電源周波数磁界試験、7.電圧ディップ・瞬時停電試験が加わった。ここではそれらの中から代表的なイミュニティ測定法を紹介する。

 

 

 

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