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3・1・2 スロット空中線部の取付けと組立て方法

レーダーの中には空中線部のふく射器とペデスタルが、レーダーメーカーから別こん包で送られてくる場合がある。組立てのときに多少の注意が必要だが、船上で組み上げることができるので装備時の積込みが容易であると同時に、放射器の不測の破壊を防げるなどで便利である。組立てのときはふく射器が長いからぶつけたりして傷をつけないことと、ペデスタル回転台の中心部から出ているプローブに触れて曲げないようにすること、及び防水用のガスケットを所定の場所に必要数入れること等に注意する必要がある。中心プローブを曲げると特性がずれて電波を効率よく伝達しないばかりか、至近距離に有害な反射を引き起こす。また、組立てのとき防水用ガスケットに傷のないことを確認し、ガスケット溝に確実に納め、ボルトで締め付けていく。締付けは一箇所のみを締め過ぎず、均一に少しずつ締め付けていく。エンド給電式のふく射器の場合はフィーダ導波管を継続するが、フィーダフランジにも規定のガスケット(Oリング)を挿入する。ガスケットは傷のないことなどを確認してから使うこと。

(図3・1参照)

本項はレーダーに装備要領書が付いてくるからこれを熟読し、不明な点はメーカーに問い合わせる等して十分納得してから作業に着手する。

 

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図3・1 ペデスタル

 

3・1・3 接地について

空中線ペデスタルには、専用の接地用端子か、あるいは接地板が用意されているので、これらを用いて船体の金属部(通常は固定用ボルトに共締め)へ落とす。専用の接地線が付いていないときは、固定用のボルトを利用する。

接地の意味は前述のように漏れ電流による感電防止と、電波雑音の防止のためである。

 

3・1・4 完全防水とするための注意

空中線の浸水の原因の一つは呼吸作用による水の吸い込み現象である。空中線は屋外装備機器なので温度の差の影響を一番大きく受ける。つまり、雨などに当たって外面が濡れ、そこに風が吹くと気化熱が奪われて急激に冷やされるので、空中線内の空気の体積が縮まって負圧になる。レーダーによっては空気穴を設けたものもあるが、呼吸による内部への結露を避ける意味で完全密閉に近い構造もある。密閉構造のものの内部が負圧になると、どこかに透き間があれば当然吸い込みを起こし、雨か海水が内部に浸入してくる。一度入った水はほとんど出ていくことはなく、故障するまでたまっていく。したがって、ペデスタルカバーの締め忘れなどはいうに及ばず、その他工事上の細かい注意が必要となる。

 

 

 

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