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実際の運用上においては、偏波が異なることによる物標の反射特性の変化を考慮して、円偏波と水平偏波を状況によって使い分けることが必要である。図5・8・1(水平偏波)と図5・8・2(円偏波)の映像写真を比較してみれば分かるように、水平偏波(直線偏波)に比べて、円偏波を使用すると降雨クラッタが全く消えている。

 

千葉県富浦町から東京湾、三浦半島方向を観測

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図5.8.1 (水平偏波)海滴反射のレーダー映像の比較 丹沢方面で発生した雨雲と降雨の観測

 

千葉県富浦町から東京湾、三浦半島方向を観測

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図5.8.2 (円偏波)雨滴反射のレーダー映像の比較 丹沢方面で発生した雨雲と降雨の観測

 

図5・9・1(水平偏波)及び図5・9・2(円偏波)ではレーダーの近傍における雨滴反射の影響を比較したものであるが、円偏波を使用した場合、レーダーの近傍地域の雨滴からの強い反射が残るのみであった。観測地(東京商船大学富浦実習場:千葉県安房郡富浦町)の2海里前方に猪瀬島という小島があるが、B-scope(距離と方位角度を直交軸として表示する方法)での降雨中の猪瀬島周辺のレーダー観測結果を図5・10・1(水平偏波)及び図5・10・2(円偏波)に示す。円偏波では猪瀬島周辺の雨滴反射の映像が減少し島のレーダー映像が若干だが明りょうになっている。観測は降水量2mm/hrの状況で行った。

 

 

 

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