7.3 GMDSSにおける人工衛星と測位の実際
7・3・1 GMDSSに用いられる人工衛星の概要
1957年10月に旧ソ連が最初の人工衛星スプートニック1号を打上げてから30数年が経過したが、その間の宇宙開発は人類を月に送るなど目覚ましいものがある。宇宙技術は、我々の身近かなものとなっている。1963年のリレー1号衛星による最初の日米間のTV中継は、ケネディ大統領の暗殺の速報というショッキングな事件で開始されたが、今日では湾岸戦争やオリンピックの例でも分かるように、世界の出来事が同時進行で茶の間の中には入り込んでいる。海外旅行をすれば、世界の大半のところではホテルの自室からダイヤル直通で自宅に電話がかけられるし、気象衛星からの雲の写真は、TVの天気予報に欠くことのできないものとなっている。最近の技術では、ポケットにも入る衛星航法装置ができ、これをもっておれば、ハイキングや登山で道に迷うこともなくなりそうである。