なお、総トン数100,000トン以上の船舶には回頭角速度計を備えなければならないが、ジャイロコンパスから入力される回頭角度信号を角速度に変換して指示するものが一般に使用されている。(船舶設備規程第146条の20、27関係)
(2) 音響測深機
船舶設備規程では、国際航海に従事する船舶で総トン数500トン以上のものに音響測深機を装備することが要求される。(船舶設備規程第146条の23関係)
音響測深機の音波周波数は一般に200kHzが多く用いられている。75kHz、50kHzなども用いら れているが、200kHzは低い周波数に比べて乱流の影響を受けにくいという大きな長所を持っているからである。最大測深距離の点では周波数が高いほど海中での減衰が大きいため低い周波数のものの方が有利であるが反面最小測深距離の点では波長の短い200kHzの方が有利である。
送受波器は乱流の少ない場所に装備するのが理想的であるが一般には機関室前壁付近の船底に設けることが多い。
(3) 船速距離計
船舶設備規程では国際航海に従事する総トン数500トン以上の船舶には船速距離計を備えなければならない。この船速距離計は通常電磁ログ又はドプラースピードログが用いられているが、ドプラースピードログを採用する場合には乱流の影響の少ない場所に送受波器を装備するよう注意を要する。(船舶設備規程第146条の25関係)
(4) レーダー
船舶設備規程では国際航海に従事する旅客船及び総トン数300トン以上の船舶にはレーダーを装備することが要求される。ただし、総トン数300トン以上500トン未満の船舶(旅客船及び危険物ばら積船を除く。)で2時間限定沿海船等、及び瀬戸内沿海限定船は除かれる。また総トン数10,000トン以上の船にはレーダーを2台装備することが要求される。
(船舶設備規程第146条の12関係)
波長は3cm(9GHz帯)が一般であるが雨や雪の影響を受けにくい10cm(3GHz帯)のものも装備されることがある。
輸出船ではトルーモーションレーダの装備や2台のレーダーのトランシーバと指示器間の相互切換装置の装備が要求されることが多い。
レーダーのアンテナは偽像が出ない様に充分高い位置に装備しなければならない。一般にはアンテナビームが半値となる点とアンテナの中心点を結んだ線の延長が船首にかからないような位置に装備する。
(5) 自動衝突予防援助装置(ARPA: Automatic Radar Plotting Aid)
船舶設備規程では、総トン数10,000トン以上の船舶にはARPAを装備することを要求している。ARPAにはレーダーの指示器を兼用する方式のものとレーダーの指示器とは別に独立の指示器を持つ方式のものとがある。