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処で位相制御角零の場合はu相巻線に流れる電流は(B)図に示すように、その電流の基本波(主体を成す交流波成分)は電圧と位相が一致しているが、位相制御角が零より大きくなると、電流の基本波I1は(C)図に示すように、位相制御角αの大きさに応じて、位相遅れψが大きくなり、したがって、入力の力率も低下するようになる。全アームがサイリスタで構成される三相全波ブリッジ整流器の場合はα=ψとみなされるので、この場合の1相分の負担する基本波入力電力Pは、交流電圧実効値をVとすると、P=V・I1・cosα1で示される。処で、直流出力電圧はcosα1に比例して低下し、一方cosα1は入力力率に相当するので、上式は出力電圧の低下と共に入力力率が低下することを意味している。

直流電動機の始動の場合のように、サイリスタ整流器の出力電圧を低下させて始動電流が流される場合には、以上の理由から突発的な無効電流がかなりのものとなり、電源系統電圧の瞬時降下を引き起す恐れがあるので注意を要する。

 

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図2.101 位相制御角αによる交流入力電流の交流電圧に対する位相変化

 

2・7・3 非常電源用インバータ

直流から交流にエネルギーを変換する装置をインバータと称するが、船舶で一般に採用しているインバータは主として航海灯などの重要負荷に対し主電源停電時の緊急給電用のもので、蓄電池を電源とする静止形のものである。これ等の静止形インバータは一般に並列インバータという結線方式のもので、その基本動作は図2.102(a)に示すように変圧器の一次側の巻線を2分割し、その各々に交互のスイッチを切り替えて電流を流してやると、高圧側の二次巻線に交流電圧を誘起する原理に依っており、このスイッチに相当する部分をサイリスタによって置き替えたものである。

 

 

 

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