日本財団 図書館


例えば、Swが転流失敗を起すと、次の瞬間に直列にあるもう一つのサイリスタSzが点弧する場合は電動機側に対し短絡と同様の現象を引き起こすことになる。したがって転流失敗を起さないで安定なインバータ運転を行うために、位相制御角を180°以下のある安全な値に制限する必要がある。多くの場合、この制限値はα=150°程度に設定される。

以上に説明したように、サイリスタ整流器を電源として直流電動機を運転する場合にはパルス位相制御角の変化により電動機として動作する順変換運転(整流器運転)から、発電機として動作する逆変換運転(インバータ運転)まで広い範囲でサイリスタを動作させることができる。この動作特性を図示すると図2.99のように直流電圧はα=90°付近で位相制御角αにほぼ比例して変化することを示している。

 

136-1.gif

図2.99 三相全波純ブリッジのサイリスタ整流器における位相制御角と直流出力電圧

 

(3) サイリスタ整流器の位相制御角と直流電圧

前各項にて代表的なサイリスタ整流回路の動作について概念的な説明を行ったが、位相制御角と直流電圧との関係を数式で示すと表2.2の通りで、これを連続的特性曲線として表したものは図2.100に示される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION