2・4・4 三相誘導電動機の始動
三相誘導電動機は始動電流が大きく大容量のものでは、その配電系統の電圧を著しく低下させるので、発電機容量に比べて小容量のものは、直接全電圧を加えて始動し、容量の大きな電動機に対しては、特別な始動方法が用いられる。
(1) かご形
(a) 全電圧始動(直入始動)
直入始動であって、広く使用されるが、始動電流が大きい反面、大きい加速トルクが得られ、始動時間は短い。
(b) スターデルタ始動接続による方法
一方、始動トルクは各相巻線に加わる電圧比の自乗に比例するので、始動電流と同様に、全電圧始動時の1/3となる。
(c) 始動補償器による方法
三相単巻変圧器を使用する始動器を始動補償器式始動器(俗称コンペン式始動器)というが、これは低電圧から全電圧に切換える際に、電動機端子への印加電圧を一旦零とする方式と、過渡的にリアクトル挿入回路を作って無電圧としない方式の両方がある。後者はコンドルファ始動方式といい、全電圧へ移行の際の突入電流のショックを緩和する効果が大きい。
コンドルファ式始動補償器では、通常タップ電圧を定格電圧の50〜80%の範囲で選んで、始動時に電磁接触器A及びBを閉として電動機に低電圧を加え、速度が増大して始動電流が低下した時点で、電磁接触器Bを開とし、続いて電磁接触器Cを閉じて全電圧による運転状態とする。
この方式で電源から流入する始動電流及び始動トルクともに、タップ電圧比の自乗に比例する。