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又、消防力の基準である一筒先あたり(ノズル二二ミリ〇・二五〜〇・四二MPa)の圧力では積載水がエジェクター配管に逆流して機能しないため、放水圧力を〇・五MPa以上に上げる必要があるが、上記の理由で極めて困難な作業となり事実上水利の切り替えは不可能である。

 

表1

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(注) ノズル口径23mm

 

結果

S式吸管媒介金具とは、従来のエジェクターによる自然水利の取水原理とは全く逆の発想をもって開発された器具である。即ち吸管内の空気を放水背圧を利用し放口側に排出する事によって生じる吸管内外の圧力差によって吸管内に水を導くエジェクター原理に対し、吸管内に積載水を流入させる事によって、吸管内の空気をストレーナ側に排出すると共に吸管内を水で満たし即時に水利の切り替えを可能にした器具である。

 

長所

一、エジェクターでは積載水量の問題で不可能とされる低圧放水時・放水停止時においても自然水利(無圧水利)から少ない水量で取水出来る。

二、エジェクターでは取水困難とされる極めて大きな落差であっても、容易に取水できる。

三、如何なる状況においても短時間で取水出来この特徴はエジェクター使用時において不利な状況が多いほど顕著に認められる。

四、取り付け、取り外しが簡単で日頃の整備にも殆ど手が掛からない。(写真四)

 

問題点

一、重力による流下式の為、積載水面と取水水面の高さが同じか、取水水面が高い場合には取水不能となる可能性がある。

二、金具の中央にバルブの軸がある為、高圧・大量放水時にキャビテーションが発生し絶対的な吸水効率の低下が考えられる。

 

考察

一、水槽付き消防自動車の積載水の自然流入を前提として開発しているが、より効率的に運用するためにはポンプ配管の改造が考えられる。(図二)

二、自動放口閉塞弁から放口コックの間にバイパスを設け吸管コック外側へ配管すれば、放水により強制的に吸管内を水で満たし即時に水利の切り替えを可能に出来、積載水面と取水水面の高さが同じか、取水水面が高い場合でも取水可能となる。

三、この様なポンプ配管の改造をすれば、ポンプ車においてもS式吸管媒介金具との相乗効果により極めて迅速な取水が可能と考えられる。

 

お詫びと訂正

二月号でお知らせしました、平成一二年度消防機器の改良・開発入選作品について、秀賞受賞者の誤りがありましたのでお知らせいたします。

機器の部【秀賞】

・放水器具(ダブルコントロール式バリアブルノズル等)の改良

大阪市消防局

山本薫

・S式吸管媒介金具を使用したポンプ車用給水システムの考案

岡山市消防局

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佐藤文昭

佐藤宣宏

ここに謹んでお詫びし、訂正いたします。

 

 

 

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