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隔壁には、その使用目的に応じて次の三種類がある。

(i) 深水タンク隔壁、油タンク隔壁:常用的に水または油を入れる水タンクまたは油タンクの壁面となる隔壁。

(ii) 水密隔壁:万一の遭難・事故のときに、浸水を局限するために設ける水密隔壁、すなわち貨物船の貨物倉間の隔壁など。

(iii) 仕切隔壁:たんに仕切のために設ける非水密隔壁できわめて軽構造のもの、すなわち出入口または窓のあいている船室・倉庫などの仕切壁など。

(i)のように常時液圧を受けるものと、(ii)のように船の一生を通じて一度あるかないかの浸水に備えてのものとでは、その構造寸法の決定基準に差があるのはもちろんである。

(1) 平板型隔壁(普通型隔壁)

平板型隔壁とは、平板にスチフナを取付た構造の隔壁で、通常平板は横張りにし、スチフナは比較的密な心距で立て方向に並列に配置されている。なお、隔壁の面積が大きい場合または大きい強度および剛性が要求される場合には立てスチフナと直交して水平方向に水平ガーダまたは水平スチフナが設けられる。

(a) スチフナ(防撓材)

(i) 立てスチフナのみを有する隔壁

一般に隔壁中央部のスチフナが最も大きい曲げモーメントを受けると考えられるから隔壁全体について考える代わりに、中央部のスチフナ心距についてその強度および剛性を考える。

この場合、スチフナが液圧により曲げ作用を受けるときは、これに固着する隔壁板の一部分も一体となって曲げに抵抗するが、スチフナより少し離れた部分は遊びの状態にあってほとんど寄与しない。この際、スチフナとともに働くと考える板の幅を、有効幅という。

こうしてスチフナと有効幅だけの平板から構成されるはりが、一心距間の液圧を受ける問題として考えればよい(第3.15図参照)。このはりの両端の固着度(すなわち固定とみなされるかあるいは単純支持とみなされるか、あるいはその中間か)は、スチフナとこれに結合される隣接部材の剛度およびスチフナ隣接部材との結合方法により定められる。

 

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第3.15図

 

 

 

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