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第4章の2 造船法

 

1. 沿革

造船事業法の公布によって昭和14年4月より造船事業の許可制は導入された。その後の第二次大戦、占領の時代を経て、造船事業法は廃止され、これにかわって、造船法に基づく造船施設又は設備の届出制度が、昭和25年法律第129号に基づき昭和25年6月から発足し、造船施設又は設備の許可制度は、昭和27年法律第199号に基づき昭和27年7月から発足し、今日に及んでいる。造船法に基づく許可制度が制定された当時、造船設備は、戦時中の酷使によって損傷、老朽化が著しく、近代化された造船所にするためには、積極的に設備投資を行い、合理化する必要に迫られていたが、一面において、合理化は、造船能力の増大を招来し、過当競争をひき起こすおそれもあった。また当時は、我が国造船業に混乱を招来するような資本投下、特に、何等の制約なしに外国資本が流入することを防止する必要があった。このため、造船能力、施設を適正に調整し得るよう、許可制度が再開されたものである。その後数十年を経過した今も、取り巻く状況は異なるものの、その制度は必要不可欠なものとして有効に機能している。例えば、造船業の不況対策として、供給力を削減するため、5,000GT以上の設備を対象とし、過去2度の設備処理を行い、不況前の約1/2まで設備能力が削減されたが、現在これらの設備処理の実行を担保しているのが施設設備の許可制度である。

 

2. 法律の概要

(1) 造船技術の向上を図り、あわせて造船事業に関する事業の円滑な運営を期することを目的とする。(第1条)

(2) 総トン数500トン以上又は長さ50メートル以上の鋼製の船舶の製造又は修繕をすることができる造船台、ドック又は引揚船台を備える船舶の製造又は修繕の施設などを対象とし、これらの造船施設の新設、譲受、借受又は設備の新設、増設、拡張について、運輸大臣の許可を受けなければならない。(第2条、第3条)

(3) 運輸大臣は事業者からの要求があったときは推進性能試験及び機関の性能試験を行わなければならない。(第4条、第5条)

(4) 鋼製船舶製造修理業者及び総トン数20トン以上又は長さ15メートル以上の鋼製の船舶以外の船舶の製造修理業者等は事業を開始した日から2ヵ月以内にその施設の概要及び事業計画を運輸大臣に届け出なければならない。(第6条)

(5) 運輸大臣は(4)に述べた届出事業者に対し、業務、技術に関する必要な勧告をすることができる。(第7条、第8条)

 

 

 

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