従って我が国においては、船舶検査証書又は臨時航行許可証を受有している船舶に対して条約証書を発行する制度をとり、これらの条約の規定に適合させている(海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令、昭和40年運輸省令第39号)
これらの証書は、これを受有しないで船舶を航行の用に供しても、船舶検査証書の場合と異なり、罰則の適用を受けることはないが、外国に入港した際に、検査を要求される等の不便を甘受しなければならない。
(1) 海上における人命の安全のための国際条約
国際航海に従事する船舶であって、次に掲げるものの所有者は、それぞれ次の証書の交付を受けることを要する。ただし、(イ)、(ハ)から(ト)までに掲げる証書については、これらの証書に係る要件の、全部を免除する旨を証明する免除証書の交付を受けた場合は、その交付を受けなくてもよい。
なお、ここでいう貨物船とは、旅客船及びもっぱら漁ろうに従事する船舶以外の船舶をいう。
(イ) 旅客船(原子力旅客船を除く。)
旅客船安全証書
(ロ) 原子力旅客船
原子力旅客船安全証書
(ハ) 総トン数500トン以上の貨物船
貨物船安全構造証書、貨物船安全設備証書及び貨物船安全無線証書又は貨物船安全証書
(ニ) 総トン数300トン以上500トン未満の貨物船
貨物船安全無線証書
(ホ) 船舶設備規程、漁船特殊規程、船舶防火構造規則、船舶区画規程、船舶機関規則、船舶救命設備規則又は船舶消防設備規則の定めるところにより、(イ)から(ニ)までに掲げる証書に係る要件の一部又は全部を免除された旅客船又は総トン数500トン以上の貨物船
免除証書
(ヘ) 無線電信もしくは無線電話を施設することを要しない船舶又は臨時航行許可書を受有する旅客船又は総トン数300トン以上の貨物船
免除証書
(2) 満載喫水線に関する国際条約
旅客船又は貨物船であって、国際航海に従事する長さ24メートル以上のものの所有者は、国際満載喫水線証書又は国際満載喫水線免除証書(潜水船その他の船舶及び臨時航行許可証を受有する船舶であって、満載喫水線の標示を免除されたもの、または船舶設備規程、鋼船構造規程もしくは満載喫水線規則の定めるところにより、国際満載喫水線証書に係る要件の一部もしくは全部を免除されたものに限る。)の交付を受けることを要する。