(2) 裏溶接の時期について
第5.11図のようにバットとシームが同時に存在するブロックの板ツギにおいて、例えば、シームを先につないだ場合、シームの裏溶接までやってから、バットの溶接に入るようにすると、理想的であるが、板の反転回数が増えるので、できることなら、全部の表溶接をやってから、一挙に反転した方が有利である。ただし、自動溶接等でX面開先となっていると表溶接の溶着量に比して、裏溶接の量が大きいので、交叉部に欠陥を生じる恐れがある。従って、このように一挙に表溶接をやってから、まとめて裏溶接を施行してもよい場合は、手溶接では、表面V型開先のときと、自動溶接では、板厚が16mm以下のときとされている。
(3) 皮と骨、骨と骨の溶接の順序について
第5.12図のごとく、皮の上に、骨材が格子状で組まれるブロックの溶接において、従来は、まず、骨と骨を溶接して、溶接による収縮を起こさせてから、その収縮した枠を皮につけるのが、残留応力の上からよいとされていたが、実際には、枠組工作法をとらない限り、取り付け完了状態においては、皮と骨も、骨と骨同様に、しっかり仮止めされている状態である。従って、変形等の件で不都合がなければ、最近はどちらから溶接しても差し支えないとされている。
(4) T字型交叉部の溶接
ブロック接手の部分で第5.13図のようなT字型に交叉する溶接線の出ることが多い。この場合は、(a)図のごとく、バットを完了してからシームを行えば問題がないが、(b)図、又は(c)図のごとく、その交叉部だけに着目してバットが先になるような順序で行えばよい。但し、この場合、バットの溶接は、シームの開先内に入るところは、溶接後、ちゃんと、開先に仕上げること、及び(b)、(c)図に示した寸法を確保することが必要である。
(5) 溶接線の斜交叉とライナー
シーム等の溶接線と、ロンジ部材の隅肉溶接が、斜めに交叉することはよくある。従来このような場合、第5.14図(b)のように、ライナーを入れて、溶接線が重ならぬような工作を行っていたが、これは、前に述べた熱影響部付近の材料の劣化が、大きくならないようにとの配慮である。