3.3.2 溶接棒の乾燥と管理
サブマージアーク溶接におけるフラックスも乾燥が必要であるが、今、ここでは、一般の被覆溶接棒について乾燥が必要な理由と、乾燥温度等について述べる。
被覆溶接棒は空気中の水分を吸収して湿気を帯びた場合、次の各項目のような欠陥を生ずる
(1) アークが不安定になる
(2) スパッタが増大する
(3) ブローホール、ピットが発生する
(4) 溶着金属部の機械的性能が劣る
(5) 耐亀裂性が劣る
このような各欠陥は、被覆の系統によって、影響の度合いが異なる。即ち、イルミナイト系と低水素系を比較した場合、この影響の度合いは低水素系の方が大きく受ける。このことは、低水素系の方が水分を吸収しやすいということではない。むしろ、水分の吸収の具合の上では、低水素系の方が吸収しにくいのである。即ち、低水素系の方が、わずかな水分で、大きな影響を受けるということである。
ここでは、低水素系に例をとって、水分の影響が、欠陥に対して、どのように変わるかを述べる。