各船級協会も造船用鋼材及びその溶接部に対する切欠き靱性の要求は、ある温度におけるVノッチシャルピー衝撃値で規定している。第1.9図にA級鋼及びB級鋼の0℃における吸収エネルギー値を示す。溶接部の切欠き靱性は溶接入熱と密接な関係があり、一般的にボンド部付近の粗粒域は靱性が低く、微細部は焼ならし組織に似て靱性が良好である。
第1.10図はこれを定性的に示したものである。
鋼材の衝撃試験において、吸収エネルギーが急激に低下する温度を遷移温度といい、衝撃曲線で最高最低の平均値を与える温度をエネルギー遷移温度といい、せん断破面率が50%の温度を破面率遷移温度といい、それぞれvTrE、vTrs と表わす。(第1.11図)