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今月の私の一冊

 

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『私の死亡記事』 文藝春秋(編) (文藝春秋 本体定価1524円)

 

広島県 田岡剛さん

「書店でふとこの奇妙なタイトルの表紙が目に入ったが、そろそろ「老い」も深まってきた身としては正直なところ手に取る気にならなかった。その後、改めて雑誌で批評記事を読み、買ってみる気になった。死を考えることこそ、今をよりよく生きる秘訣なのだろう、というのが私の読後感である」

 

「堀田力が、単身マニラを発ってレイテ島に向かったのは、二○二三年の四月で、時に八十八歳であった。レイテ島の海辺に立ち、フィリピン海溝を飽かず眺めている彼の姿が目撃されているが、その後の行方はわからない。マニラの住居に残されていた彼の雑記帳の最後の文章に、「夢を追って生き、愛を残して死んだ」とあったことから、家族は、好きな海に消えたのではと想像している。」

(本書・堀田力寄稿分より抜粋)

 

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