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しかし、実海面において直線偏波(水平偏波)同士の場合には、SARTアンテナが傾斜することによりアンテナ指向性のずれとともに偏波面のずれによる損失も発生し、探知距離/探知確率の低下を招いているものと考えられる。

偏波面のずれによる損失はSARTアンテナを円偏波にすれば解決できるが、直線偏波と円偏波の相違により発生する固定の偏波損失(3dB)も発生し、探知距離に影響を与える。

SARTのアンテナに円偏波を採用した場合に、従来の水平偏波方式と比較した特性の変化を調査するために、本調査研究会では円偏波SARTを試作し、水槽試験及び実海面試験を行った。

 

5.4.1 円偏波アンテナの検討

円偏波を発生させるアンテナは各種実用化されており、図5.4.1-1に代表的な円偏波アンテナの形状を示す。このなかでSARTに求められる水平面無指向性アンテナはNo.1とNo.2であるが、小型軽量化と構造の単純さからNo-1のヘリカルアンテナを採用した。

送信側及び受信側の両方で円偏波アンテナを使用する場合には右旋/左旋の検討も必要であるが、SART用として使用する場合には相手側が直線偏波アンテナ(9GHz帯の航海用レーダーは水平偏波)なので、検討の対象外となる。また、円偏波と直線偏波との組合せにおいては3dBの偏波損失が発生する。

試作円偏波ヘリカルアンテナの構造を図5.4.1-2に、指向性測定結果を図5.4.1-3に示す。

 

 

 

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