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2 気象情報と防災活動(図1)

 

大雨、暴風などの顕著現象は、台風や発達した低気圧、活発な停滞前線などによってもたらされます。それによって、農業や漁業などの産業活動、鉄道・道路・船舶・航空機などの交通などさまざまな社会・経済活動に支障を与えます。また、山・がけ崩れや河川の増水や氾濫、低地の浸水などが起こり、時には人命や財産を奪ってしまいます。

このような災害を可能な限り防止・軽減するために、気象庁は、台風や低気圧などの動き、それに伴って発生する大雨や暴風などを予測して、注意報・警報や各種気象情報を発表しています。

これらの防災情報を、都道府県や市町村の防災活動或いは一般住民の防災対策に利用していただくことにより、災害の防止・軽減に寄与し、国民の生命、財産を自然災害から守っていきます。

災害の軽減には、ハード面の充実は勿論ですが、ソフト面での充実が求められています。このために、気象庁と都道府県との連携を密にし、防災情報の共有化を図っていく必要があります。

 

(1) 最近の気象災害

表1は、昭和60年から平成10年までの最近14年間の主要な災害(死者行方不明10人以上)の一覧です。

この内、災害数全体の約64%(死者行方不明の約72%)が、5月〜10月の半年間で発生しています。また、死者行方不明30人以上の災害は5例(台風4例、豪雨1例)で7月〜9月に集中しています。

このことから、わが国における「気象災害」の多くが、台風による風水害、梅雨前線に伴う豪雨災害だと言えます。

 

(2) 大雨災害に関する防災気象情報

前項で示しましたように、わが国では大雨による災害が圧倒的に多く発生しています。ここでは、大雨に関する情報の流れを示します。他の気象現象に関する情報の流れもほぼ同様なものとなります。

図2の左上から右下にかけての矢印は時間軸を表わしています。

1] 台風や低気圧の動きから、大規模で顕著な気象現象が予想される場合は、2〜3日前に「大雨(台風)に関する気象情報」を発表し、事前の対策を呼びかけます。

2] 前日または当日になって「災害の発生のおそれがある」ような状況になると、大雨や洪水の注意報を発表します。状況によっては県内を区切った区域、細分区域に対して注意を呼びかけます。

 

 

 

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