日本財団 図書館


まずは海への入口、家庭から出す水からきれいにしよう

 

今や生活排水が水質汚濁の一番の原因なのだから、台所、洗面所、風呂、トイレなど、家庭から出す水はなるべくきれいに流したい。家庭でできる雑排水対策(生ごみにろ紙袋、調理くずの拭き取り、油の適切な処理など)によって20%の汚れが削減されるという調査結果がある。

パネル2のような工夫も、はじめは面倒でも、習慣になると意外と何でもないこと。学校で子どもが勉強してきて、親に注意したり、子どもが自分で率先して米のとぎ汁をバケツにためて庭に撒いたりする話など最近よく聞く。川や海に棲む小さい生き物のことを考えてみると、なんとかしなければいけない。

きっかけは何であれ、ほんの一工夫するだけで水質浄化に貢献できるのだ。

 

ほんのちょっとの工夫が意外に大切

 

なるべく汚れを流さないのが基本だけど、合成洗剤よりはせっけん、せっけんを使うなら少量、せっけんのいらないアクリルたわしなどを使うなど、「ちょっとマシ」を積み重ねて行くと、意外に大きな効果がある。

下水処理場も万能ではないし、主に微生物を使って汚れを分解しているので、薬品など化学物質は水に流して処理しない方がいい。大雨の時などは下水処理場や川が大水でパンクすることがあるので、そういう時には風呂の水は流さずためておくなど、自分の周りの川や海、水処理の仕組みを把握した行動が大切だ。

また、水使用量が減ることで、新たなダムの建設を阻むことができるかもしれない。ちりも積もれば山となるように、小さな行動の積み重ねはバカにならない。

 

他にもまだまだ浄化できること

 

農業は昔から自然と折り合いをつけてきた産業だが、最近は田畑では農薬や化学肥料と過剰施肥、酪農では家畜のふん尿の処理が川や海の生きものに害を及ぼしている。福岡・仙台シンポジウムなどで紹介された無農薬・有機栽培でがんばる農家、釧路シンポジウムで紹介された牛のふん尿の液肥化の試みなどは、消費者として応援するだけでなく、援農など直接農家の人と付き合うことでさらに広がりが出るだろう。

家畜ふん尿処理は肥料以外にもバイオガスなど新たなエネルギー源としても注目されている。また、青森では陸奥湾の浄化対策として、下水処理水でとかした雪を浄化してから海へ流すようにしたり、幅広い視野で問題解決を図ろうとしている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION