―十個の教えをかかげた別院小学校は素晴らしい校風ですね。この地元で生れ、巣立った若者たちは、他とは違った何かがおありでしょうね。
石田 あわい希望を込めての気持ちもありますが、ピカリと光る何かがきっとあると思います。さきほど、二年生に五つの目標を言いましたが、私は個人的に履物を揃えることを目標に加えております。これを徹底してやっていますと、ものの三〜四カ月もすると、自然にそれが出来るようになり、自分も周囲の者も変ってきました。このように何かの目標をかかげて生活してきたこの土地の若者が将来、進学や就職で社会に巣立った時、"ちょっと違うなあ。ひかっとるなあ"と思っていただけるのではないか。そのためには、あたり前のことをあたり前に出来るように育ててやるのが、教師なり親の勤めであり、本当の愛情だと思います。
―21世紀は子供の時代とも言われます。21世紀と子供についてはいかがでしょう。
石田 身近には一家の将来を、大きくは日本の将来を、さらに大きくは世界の将来を託されているのが現在の子供たちです。それには、しっかりと善悪の判断ができ、国際人として通用する教育を受けさせなければなりません。その基本は、くりかえしになりますが、ありべかかりの心で生きていける強い意志の人間に育てることだと思います。小さい時のインパクトは、その人の将来を大きく左右します。
―最後に、ご生家を守っていかれるお立場からお思いになる事がありましたら話してください。
石田 ここをお訪ね頂く方は、それぞれに勉強されている方々ばかりです。また、梅岩先生は山深い山里の農家で生れ育ったと事跡に紹介され、多くの方が"美しい山村だ"というイメージを持っていただいているようです。そういった方々のイメージをこわさないためにも、環境を含めて家を守り、ご先祖の祀り事をしっかりとやっていくことだと思っています。ご縁のある方には一人でも多くお訪ねいただいたら幸せです。