谷口 自然はいったん壊すと元にはもどりませんから大切にしないといけませんね。自然破壊は、子供の世界におきかえるとイジメにつながります。
―梅岩先生を主人公にした紙芝居とビデオが話題にあがりましたが、紙芝居を見た子供たちの反応はいかがでしたか。
藤田 「子供歴史学校」と「亀岡文化少年団」というグループに見て頂いた時、アンケートをとりました。その時の感想文を紹介させて頂きます。「勘平さんものがたり」はどちらかというと地味で、子供が喜ぶ内容ではないのですが、二年生から六年生にかけての子供たちがそれぞれに、「紙芝居がとても面白かった。勘平さんはすごいと思った」とか、「僕も勘平さんみたいになりたい」とか、奉公については、「あの若さでお母さんと別れて奉公に行くなど、僕には出来ない。すごく立派だと思った」とか、「良いものを見せてもらってよかった」―とか感想を寄せてくれ、私たちもこれを見てうれしく思い、またとても励みになりました。
谷口 あの紙芝居は、大人も感心して見ていました。願わくば、子供といっしょに若いお母さん方もぜひ見て頂きたいですね。
中村 ぜひそうしてほしいですね。
谷口 絵もお上手でした。どなたがお描きになったのですか。
藤田 梅岩先生のお膝元の東別院町の中川純子さんです。
黒川 本日のフォーラムでも、子供を指導するには、子供の心にかえらなけらばならないとありましたが、その通りだと思います。
中村 子供の心の教育には、根気がいちばん大事です。このことは、二七〇年前も今も同じだと思います。それには、親も子もその気になって、まず自分の家の中から積み重ねていくことが必要です。そしてまた、社会全体の雰囲気づくりも大切です。心と心との交流ができると、それはやがて大きくは世界平和にもつながってゆくと思います。
―ビデオ「石田梅岩先生」も好評です。市立中央図書館やガレリアの図書室などにおいてありますから、ぜひ見てほしいですね。木戸さんは、儒学者の役とマネージャーをおつとめになったと聞きますが、映画づくりのご苦労を聞かせてください。
木戸 ロータリークラブの基本的な考えの一つとして、「次代を担う子供たちのために、地域の偉人たちをわかりやすく知ってもらおう」ということから、ビデオをつくり、市内の全小学校にお配りさせていただきました。制作には、私たちロータリークラブと、下部団体のローターアクトの皆さん、それに学園大学の放送演劇クラブ、子供演劇サークルの四つが協力して、素人演劇ながら、梅岩先生の心を子供たちに伝えたいということから、半年がかりで映画づくりに取り組みました。
当初の脚本は東京弁で書いてありましたが、それを亀岡弁に変え、かつて大学時代に演劇部で活躍されていた大槻秧司先生などから演技をお教えいただいて練習しました。練習は、仕事が終わった後の夜です。一つ残念だったことは、実質的な撮影期間が三〜四ヵ月と短かったため、飢饉で炊き出しをする冬のシーンがあるのですが、撮影時期が夏だったため、雰囲気がいまひとつであったことです。寒さにふるえながらお粥を食べなければいけないのに、それがうまくできませんでした。(笑)