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先ほど、黒船の話がございましたが、黒船のときも、みんな黒船で変わっちゃったわけですが、その前、林子平の例の『海国兵談』からずっと布石がございますが、ともかく陸蒸気という鉄道が全国津々浦々と走り出したわけです。これは言い得て妙でありまして、“陸蒸気”でありまして、本当は蒸気エンジンは海だと思っていたわけですね。陸海軍じゃなくて、ここにも書いてありますが、初めは海陸軍だったわけです。それが陸海軍にあるときに変わりますけれども。

そういう意味の、先ほどから非常に古い歴史のお話がありましたが、我が国の場合、確かに黒船あたりからは、確実に近代化、とくに蒸気のようなエネルギー問題に関心が強く、そして、プラス、実は通信系が同時に動き出しております。鉄道の広がっていくのと電信が広がっていくのはほとんど同時。場合によっては電信のほうが早いというくらいでございます。これは鉄道のほかに船がありますが、船というのは当然、通信がなきゃビジネスができません。特に海底電線ができないような洋上ですと、これは無線以外にないわけでありまして、結局、今、私たちがモバイル、インターネットと言っている、無線でやっているというのは、基本的に人類が一番必要としているものであります。しかも、今は個人がこれをやっています。これから、すべてそういう個人をベースにして考えなきゃならないという意味では、バーチャルの世界での海洋民族に、今、日本人はなりつつあるという見方を、未来に対してはできると思います。

いわゆるデスクトップ型のパソコンで座ってやるというのは、フットワークを犠牲にしてネットワークをやるという典型的なシングルタスクの近代工業化のスタイルでございまして、どっちか一方のワークしかできませんから、その方式でメールをどんどんやるとどういうことになるかといいますと、例えば、この席でメールが10分間隔で1つ着きますと、二時間たちますと、10何通たまっちゃうわけですね。オフィスに帰ってから、その10何通やるわけです。つまり、シングルタスクで縦長にずっと、さかのぼりさかのぼりやっていくんですね。ところが、iモードでやっていますと、講演が終わったときには、パラレルに全部終わっています。だから、シングルタスクで従来の先送り方式でやっていると、いずれ確実に時間が足らなくなります。事実なくなってきていると思います。帰ってみたらメールが溜っていて、メール処理ばっかり何時間もやっているというんで、寝る時間がなくなっちゃうんじゃないか。

 

 

 

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