(2) ケーススタディ
離島架橋の中から、いくつかの事例について「効果」「問題点」の具体的内容について整理した。
●生月大橋(長崎県生月町:生月島)
生月島の概要
1] 位置:生月島は、長崎県の西北端、平戸島の西北14kmにある1島1町の島。
2] 人口:平成7年国勢調査人口 8,594人
3] 産業:産業別就業者人口は、第一次産業1,710人(内、漁業1,278人)、第二次産業1,032人、第三次産業1,350人で、西日本でも有数の大・中型まき網漁業の基地として、水産業が基幹産業となっている。
生月大橋の概要
1] 工事区間:生月町館浦〜平戸市主師町(平戸島)
2] 延長:2,460m(大橋960m、高架橋372m、道路1,128m) 有料 1,100m
3] 幅員:6.5m(路側0.5m+車道2.75m)×2
4] 橋梁形式:3径間連続トラス 中央径間400mは世界一
5] 全体事業費:約115.5億円 (約71億円 補助事業 40.5億円 有料事業)
6] 工事期間:昭和55年度から平成3年度
ただし、有料事業は昭和63年度から平成3年度
7] 開通期日:平成3年7月31日
8] 通行料金:普通車 600円 大型車1(定期バス) 900円
大型車2 1,100円 軽自動車 450円
軽車両等 50円
1) 架橋前後での交通条件の変化と橋の利用状況について
(架橋前後での交通条件の変化)
架橋前の本土との交通体系は、生月〜平戸市薄香港間に1日11便(約35分)のフェリーが就航していた(漁協が運営する民営航路)。フェリー運賃は5m未満の自動車航送料が3,000円であった。また、上記の航路以外に野母商船(株)の博多〜福江航路が寄港している。
平成3年7月31日の生月大橋の開通により、上記生月〜薄香航路は平成3年8月1日より廃航となった(船舶補償はなし)。なお、博多〜福江航路は現在でも就航している。
架橋前後での本土との所要時間の変化を生月町役場〜平戸市役所間の所要時間でみると、架橋前は生月〜薄香(フェリー直行便で35分)、薄香〜平戸市役所(バス15分)の計50分であるのに対し、架橋後は生月町役場〜平戸市役所間は乗用車で約30分、バスで45分である。なお、フェリーを使用する場合は、就航時間の他に、実際には待ち時間が生じていた。