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(3) 高齢者・身障者の船舶利用の状況

1] 離島在住者の船舶利用の実態

■離島在住者の行動範囲のほとんどは島内。島外への「通院」等で限定的に船舶を利用。

ヒアリング調査によると、離島在住者の就業者の多くは、自営業であり、サラリーマンが少ないことなどから、隣近所で用事をすませることも多く、行動範囲のほとんどが島内にとどまるとされている。

また、このため、本土への移動も少なく、船舶利用も多くはない。本土へは、島内で受けることのできない特殊な治療を必要とする場合の通院目的などに限定されている。船舶は、こうした離島在住者にとって、必要に迫られて利用する交通手段となっている。

 

《ヒアリング調査結果》

*離島在住者の行動範囲のほとんどは島内にとどまり、船舶利用は少ない。

・五島には約3,000名、対馬には約2,000名、壱岐には約2,000名弱の障害者がいるが、隣近所で用事を済ませることが多く、ほとんど島内から出ない。職業も自営業が多く、サラリーマンが少ないことから、行動範囲のほとんどは島内にとどまっており、日常生活における船舶の利用は少ない。

*本土への主な移動目的は「通院」。「買い物」は島内で済ませるケースが多い

・船舶や飛行機を利用して本土に来る目的は、主に医療である。下五島地区は主に長崎市方面へ移動し、上五島地区は、佐世保方面へと移動している。壱岐・対馬については、福岡方面に出ることが多い。買い物については、島内の商業施設等が整備されつつあることから、島内で済ませるケースが多い。

・離島在住者の島外への外出は、島内で受けられない治療を受けるための通院が多く、通常月1回程度である。例えば、対馬は大きな病院が1カ所しかなく、専門的な治療ができる施設が福岡に集中しており、1ヶ月に1回程度通院している。(離島在住者は、送薬治療も多い。)

・本土から離島に行く目的は祭事等に限定されるが、離島から本土への移動目的は、通院(リハビリなど)や買い物など多岐に渡るだろう。

・五島・壱岐対馬等の出身者においては、島への帰宅の頻度は非常に低い。

*離島在住者にとっては、船舶は必要に迫られて利用する交通手段

・離島居住者は必要に迫られて船舶を利用することはあっても、頻繁には利用しない。船舶は生活に必要不可欠のため、利用せざるをえない。つまり、イベントを目的として船舶を利用できる本土在住者であれば船舶を選択しないで済むが、船舶が生活必需品である離島在住者は、船舶を移動交通手段の一つとして選択せざるを得ない。

・五島(福江)には数名の聾唖者がいる。しかし、船舶の利用は、五島出身者が帰郷する場合、離島で開催される聾唖者の交流会や研修会に参加する場合等限定的である。

 

 

 

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