はしがき
本報告書は、当センターが「日本財団」の平成12年度助成事業として実施した「長崎県における海上旅客輸送のバリアフリー化促進に関する調査研究」の研究成果を報告書としてとりまとめたものであります。
わが国においては、急速な高齢化の進行により、2015年には国民の4人に1人が高齢者となる本格的な高齢社会を迎えます。また、約300万人の障害者が障害を持たない人と同じように社会に参加できる「ノーマライゼイション」の考え方も広まってきています。こうした中、2000年(平成12年)には、高齢者、身体障害者等の移動の利便性や安全性の向上を促進する「交通バリアフリー法」が制定され、公共交通機関のバリアフリー化の進展が期待されているところです。
一方、九州は周囲を海に囲まれ、離島が点在していますが、中でも長崎県は、五島列島、対馬、壱岐をはじめとして多数の離島を有し、本土も三方を海に囲まれていることから、日常生活、業務、観光等のさまざまな分野において海上旅客輸送が非常に重要な役割を果たしています。特に離島地域においては、海上旅客輸送が本土と結ぶ唯一の交通手段となっている場合も多く、そのバリアフリー化を促進していく必要性が特に高い地域ということができます。
こうしたことから、本年度調査においては、長崎県の海上旅客輸送におけるバリアフリー化の現状を把握するとともに、高齢者、身体障害者等の海上旅客輸送に対するニーズを把握し、長崎県の海上旅客輸送におけるバリアフリー化に対応した施設整備等の促進に向けて、その方向性や各関係主体の役割等を提言としてとりまとめたものです。
この報告書が関係者の方々にいささかなりともご参考になれば幸いに存じます。
おわりになりましたが、本調査研究をとりまとめるにあたって終始ご指導、ご協力を頂きました長崎総合科学大学大学院 慎燦益工学研究科長・教授はじめ委員各位、関係官公庁並びに調査にご協力頂きました関係の方々に、改めて御礼申し上げます。
平成13年3月
財団法人 九州運輸振興センター
会長 石井幸孝