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3) 干潟の生物群集

干潟の生物群集は、波浪・底質の粒度組成・水質(塩分)で決定されるとされている。また、地盤高に応じて垂直分布を形成する。これらの生物群集は、地理的に隔離していて、種は異なっているものの、組成が類似している群集であり、Parallel Communitiesと呼ばれる。このことから、世界の干潟に分布する生物群集は生物の種は異なるが、同じような役割を担う生物が、一定の規則に則って分布していると見なすことができる。

スカンジナビアの海洋学者ダールは世界中の潮間帯生物群集を類別し、3つのゾーンが形成されることを明らかにした。また、サルヴァはこの区分を保水状況より説明した。これは基本的に砂浜を対象とした区分であるが、より細かい底質にも対応しており、干潟にも適応されうるものである。また、この区分をもとに各国干潟においての生物学者が生物群集の帯状構造について研究を行っている。

 

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図2-2-4 サルヴァおよびダールによる潮間帯・帯状分布の構造

MHWS:大潮平均高潮線(mean high water of spring tides) MLWS:大潮平均低潮線(mean low water of spring tides) MTL:平均潮位(mean tide level)

 

表2-2-1 に示すように、場所は異なっても干潟の生物は地盤高によって大まかに類似した分布の傾向がある。

なお、我が国はヨーロッパに比較して温暖であるため大潮平均高潮線以上はカニ類が多い。一般に温暖な場所ほど干潟・砂浜のカニ類が多いと言われており、日本の干潟は熱帯的であることがうかがわれる。

 

 

 

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