2) 日本における海草の種類
(1) 日本本土(九州〜北海道)
日本本土(九州〜北海道)に生育する海草は、波静かな内湾の浅海域の砂泥質にアマモ(Zostera marina)が単独種で藻場を形成している場合が多く、干潟部に小型のコアマモ(Zostera japonica)が生育しているのが一般的である。
したがって、日本本土では、大部分がアマモを対象とした生理・生態及び生育環境条件に関する研究が数多く行われ、藻場造成も実施されている。
(2) 沖縄地方
沖縄地方に生育する熱帯性海草は、サンゴ礁に囲まれた波の静かなラグーンの比較的浅い水浅帯の砂地に、単独種で生育する場合もあるが、多くの場合2〜3種の海草が混生して群落を形成している場合が多い。
これらの海草については、日本の限られた水域にしか生息していないため、その生態や生活史は、研究者や研究事例が少ないため、不明な点も多く図鑑に掲載されていない種もある。
熱帯性海草の藻場造成対象種としての一般的な考え方としては、その水域に優占して生育する種や藻場としての機能の高い大型種を選定するのが普通の考え方であり、その対象種としては、大型種であるリュウキュウアマモ、リュウキュウスガモ、ボウバアマモ、ベニアマモが適しているものと考えられる。
これらの藻場に対しては、湾港や海洋の開発に対する環境保全対策として、環境への負荷を軽減するばかりでなく、生物の多様性の確保、生態系を保全等の施策を推進しており、新しい環境影響評価法(1999年施工)でこれらの施策が指摘され、その中で熱帯性海草藻場造成もミチゲーションとして大いに着目されるようになってきており、藻場造成に向けた生育試験が実施され始めた。