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2. 地域農業と地場産業

 

1)狭山丘陵周辺の農業

(1)はじめに

狭山丘陵の南麓と北麓、すなわち東京都側と埼玉県側では、農業の様子は異なるが、いずれも都心から遠くない距離にあり、現在では都市化が進行し良好な農業環境を維持しているとは言い難い面も多くある。しかし、一方では都市すなわち消費者が近接していることによる、地方の農業ではあり得ない都市と農業の新たな関係が生まれつつある地域でもあり、21世紀型の都市と農村を結ぶ農業生産や農地利用のあり方、さらには狭山丘陵や武蔵野の雑木林(平地林)などの環境を加味した計画と実践、すなわち狭山丘陵と都市と農業のパートナーシップの創造が十分可能な地域といえる。

(2)狭山丘陵周辺農業環境の変容

1] 狭山丘陵周辺の農業環境の現況

図II-2-1に狭山丘陵の現況として、国土地理院発行の二万五千分の一図(所沢・平成11年6月1日発行、立川・平成12年7月1日発行)を掲示した。また図II-2-2はこれと同位置で明治初期の狭山丘陵周辺の様子を示したものである。これらの地図を見ても理解できるが、狭山丘陵の周辺は、殊に東京都側の都心に近い地域ほど、開発が進行している。しかし、こうした状況にありながらも、農業は脈々と生きている。まず、こうした狭山丘陵周辺の農業の現況を参考にしつつ、表II-2-1から3に示す人口・都市計画決定区域・農業戸数・農地面積等の資料を加味し追ってみる。

a. 東京都側の農業環境

特に丘陵南側すなわち東京都側の東村山市、東大和市、武蔵村山市域の平坦部域のほとんどがすべて都市計画上の市街化区域に指定されており、農地は住宅などの間に挟まれたように存在するに過ぎない。東京都側では、丘陵の西端に位置する西多摩郡瑞穂町付近にまで至ると、立川基地や国道16号線が貫通することもあり開発は進行しているが、市街化調整区域も広く確保され、農地の広がりを見ることができる。

以下、東京都側3市1町の農業の置かれた現況を見てみる。

 

 

 

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