(5)孤立林の保全にあたって
雑木林の一つの魅力は、それが擁する生物多様性の豊かさである。四季折々の生物の賑わいはそこを訪れる人々を癒やし、あるいは子供たちの情操をゆたかに育むうえで大いに資するものがあるはずである。開発等によってそれが分断され、孤立林化していくと生物多様性の度合いが減少していくことが、われわれの調査でも明らかになった。
生物多様性保全の立場からすれば、可能な限り雑木林の細分化を避けることはいうまでもないことになる。ここでは植物にのみ注目したが、動物をも考慮するとこの点の配慮はなおさらである。やむを得ざる理由により雑木林の分断が避けられない場合、分断された孤立林同士をいわゆる緑の回廊で連結することも緊急避難的措置として検討すべきであろう。