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しかし、プロペラが発生する種々の外力などは様相が非常に複雑であるので、プロペラ軸径は静的伝達トルクをもとにし、プロペラの取付構造の違いにより決定される。

3) 軸継手および軸継手リーマボルト

一般に軸継手には軸と一体で鍛造されるか、または組立型軸継手が使用されているが、軸継手のフランジの厚さ、フランジの根元の丸味半径、軸継手リーマボルト径などは船舶機関規則によって計算式が規定されている。

4) 船尾管軸受および張出軸受

船尾管軸受および張出軸受はプロペラの重量を支えるので、軸受の構造については船舶機関規則により規定されている。海水潤滑軸受あるいは、油潤滑軸受の形式の違いにより軸受長さが規定されており、更に油潤滑軸受の場合は軸受内部の油の温度を確認する装置および重力タンクの低油面警報装置などの設置が規定されている。

5) プロペラ軸スリーブ

海水潤滑方式の船尾管の場合3・10図に示すようにプロペラ軸に青銅スリーブが焼ばめされている。プロペラ軸のスリーブの厚さは、プロペラ軸径の関数で船舶機関規則に規定されている。プロペラ軸のスリーブは一般に遠心鋳造法によって一体に製作されるが、スリーブの長さが長い場合は2個以上に分割鋳造し、溶接構造として、予備試験を受けたものは一体のスリーブと同等とみなすと規定されている。

 

2. プロペラ

舶用プロペラと言えば一般にスクリュプロペラを指す。スクリュプロペラは構造が簡単でしかも比較的効率が高いことからほとんどの船の推進に使用されている。通常は単にプロペラと呼ぶ。

プロペラには固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラがある。ここで固定ピッチプロペラについて述べる。

プロペラ以外の船の推進器としてはフォイトシュナイダプロペラ、外輪車、ウォータジェット推進装置などがある。

 

2.1 プロペラに関する用語とその説明

3・28図に示すような固定ピッチプロペラに関する用語とその説明を述べる。

3・28図は船尾側から船首側へ見て船の前進時右回転(右回り)するプロペラを示し、プロペラボスとプロペラ軸とのはめあい部にキーを用いて取付けるキー付きプロペラである。プロペラとプロペラ軸とのはめあい部にキーを用いずにプロペラを押込みコーンパート部の摩擦力によって結合する構造のキーレスプロペラもある。

 

 

 

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