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大気の湿度が高い時に高過給機関では空気冷却器内の温度低下が大きく空気中の水蒸気が凝縮して大量のドレンを発生することがある。

この多量なドレンを機関に吸い込ませると、運転中再び蒸気となり排出されるので直ちに事故とはならないが、吸気弁やライナの腐蝕などを促進したり、また停止中にシリンダ内へ流入し、弁およびシート、ライナ、ピストンリングなどに錆を発生させるためできるだけ凝縮水をシリンダ内へ吸い込ませないようにすることが大切である。

このため殆んどの空気冷却器にはドレンコックを設けたり、ドレンセパレータを設けており、運転中にはこれらのドレンコックを開いてドレンを排出することが湿度の高い時には必要である。ドレンコック開放運転による給気圧力の低下はそれ程、大きな影響はない。

(ヘ) サージング現象

コンプレッサ側に発生する不安定な運転状態であり、故障ではないがコンプレッサホイールが正転しているにもかかわらず圧縮空気が逆流し、振動と大きな騒音を発生する。この現象をサージングと云い高速高負荷運転中、急激に低速回転域へ調速ハンドルを操作した時に発生し易く、特に空気冷却器の空気通路が汚れ不純物が堆積して通路が狭くなっている場合は中低速高負荷運転時に発生し、運転不能となることもあるため空気冷却器は定期的に清掃することが大切である。サージング現象が連続して発生する場合は機関回転数を下げるか負荷を減少して早く脱出することが重要である。

2) 空気冷却器

(1) 装備の目的

過給機は機関に多量の空気を供給するために使用される。これは給気圧力を高くし密度の高い空気を機関に送り込むことであるが、そのため機関出力を増大することが可能となる。しかし密度の高い空気を作るには給気圧力を上昇させるほかに給気温度を低下させることによっても同様の効果を得ることができる。したがって過給機を使用して給気圧力を上昇させ、さらに空気冷却器を使用して給気を冷却することにより出力の増大を図っている。

(2) 空気冷却器の構造

空気冷却器の構造を2・201図に示すが、アルブラックまたはエバブラス製の内径10〜20mmの円管、あるいは偏平管に銅または耐蝕性アルミ合金製の円形または矩形の薄板フィンを接着させてある。管内に清水あるいは海水の冷却水を流し、圧縮空気はフィンの間を通過する際に冷却される。

なお空気中の湿度の高い時には、圧縮空気を空気冷却器で冷却すると、空気中の水蒸気が凝縮して水滴となる。このため梅雨時期等には運転中に空気冷却器または吸気管下部に水分が溜ることがある。

 

 

 

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