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クランク歯車は殆どがキーで位置決めをし、焼嵌めによりクランク軸に取り付けられており、これら噛合伝動系(ギヤトレイン)の起点となる歯車である。

2・75図は、ギヤトレインの一例であり、タイミングを合わせるためにそれぞれの歯車には噛合いマークが打刻されている。

中間歯車はクランク歯車とカム歯車の中間にあって回転を伝える歯車である。中心に軸受けブッシュを圧入して中間歯車軸台に取り付け、挿入側に歯車が抜け出さないようストップリングか押さえ板が取り付けられている。

カム歯車はカム軸にキーで位置決めしてナットで固定するか、押さえ板を介してボルトで締め付け固定している。潤滑は殆どの場合飛沫注油であるが中間軸ブッシュヘは、シリンダブロックからパイプで強制注油している。

2) カム軸と軸受けブッシュ

カム軸には吸排気カム、燃料噴射ポンプカムを、軸と一体で鍛造または鋳造したものと、カムと軸を別々に造り、軸にカムをキー止め又は焼嵌めする方式とがあり小形機関には殆ど一体鍛造のものが使われている。軸受け部とカム表面には高周波焼入れを施して硬度を上げ、耐摩耗性の向上を図っている。又、カム表面は焼き入れ後、研磨によりカムプロフィルを正確に形成させている。なお、最近の高速機関には列形噴射ポンプが使われており、これらの機関では吸排気カム軸と燃料カム軸は別々につくられている。

カム軸はシリンダブロックに設けられたカム軸受け孔へ軸受けブッシュを組み付け、この軸受けを介して支持されており、4サイクル機関ではクランク軸の1/2の回転で廻され、吸入、圧縮、燃焼、排気の行程を完了するのに丁度1回転するように作られている。

軸受けブッシュヘの注油はシリンダブロック内に設けられた油孔から各軸受けブッシュの油孔を通して供給される。

カムリフトは2・77図に示すようにカムの最大径と最小径との差であり、このリフト量が弁腕の長さの比率に応じ、吸排気弁の作動リフト量になる。

 

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2・77図 カムリフト

 

 

 

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