(9) その他
1] 逆転機構不要
2] 主機関始動回数が少ない。
3] 過負荷防止ができるため機関部品の寿命をのばす。
4] 一方向回転のため、ハイスキュープロペラの採用が容易である。
5] ねじり振動危険回転数域を回避して使うことができる。
2) 欠点
(1) ボス比が大きいため固定ピッチプロペラより効率が若干悪い
ボス比は、固定ピッチプロペラでは、一体形は0.16〜0.18、組立形は0.22〜0.25程度であるが、可変ピッチプロペラでは普通0.26〜0.32程度であり、わずかではあるがプロペラ効率が低下する。ボス比による効率の変化については、固定ピッチプロペラに比べてだいたい1〜3%低下するということである。ただし船に装備する場合、固定ピッチプロペラは、回転数マージン及びシーマージンを見込み設計する必要があるので、実船での推進性能は、ほぼ同じか、むしろ可変ピッチプロペラの方が良くなることもある。
(2) 価格が高い
固定ピッチプロペラに比較して構造が複雑であるので価格は高くなる。
しかし、これらは可変ピッチプロペラの装備によって機関室の省力化、合理化ができるとともに、操業能率の向上を可能にするので十分償い得るであろう。
3.2 構造
可変ピッチプロペラの部品の構成を大別すると次のようになる。

現在各種の可変ピッチプロペラが製作されているが、それらの基本構造は特殊なものを除いては、油圧サーボ機構とボス内部の変節機構とを、中空のプロペラ軸を貫通する変節軸によって連結し、油圧を原動力としてサーボピストンにより変節軸を前後に移動させてプロペラ翼をある角度だけ回転させるものである。