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(a) 前進

1] クラッチ作動油切換弁を前進側へ切換える。

2] 作動油ポンプ(小形機関はエンジンと共用形)から吐出された油は、フィルタを通り作動油圧力調整弁(共用形は第1次調整弁)で規定圧力0.7〜1.4MPa(7〜14kgf/cm2)に調圧され前進油圧通路(前進軸内)に入る。

3] クラッチハウジング(B)と作動筒の間に圧油が入ると油圧作動筒はエンジン側へ移動する。作動筒に固定された摩擦板押えは同時にエンジン側に移動し前進摩擦板をクラッチハウジング(B)に圧着する。その時油圧作動筒とクラッチハウジング(A)間の油は切換弁を経てクラッチケース油溜にもどる。

4] クランク軸と直結されたハウジングA、B、Cおよび油圧作動筒はクランク軸と同一回転しているから、これに圧着した摩擦板にクランク軸の回転が伝えられる。

5] この回転は前進軸、小歯車、推力歯車に伝えられ推力軸はクランク軸と反対方向に回転する。

6] この時、後進軸は遊転する。

(b) 中立

1] クラッチ作動油切換弁を中立にする。

2] 圧力油は切換弁から同時に前進および後進側に入り同じ圧力で作動筒の両側を押す。

3] 油圧作動筒は復帰バネによって中央位置に復帰する。

4] 摩擦板は中央に戻り、前進軸、後進軸は回転しない。

(c) 後進

1] クラッチ切換弁を後進側にする。

2] 圧力油は後進油圧通路を通る。

3] 圧力油は、クラッチハウジング(A)と油圧作動筒の間に入り油圧作動筒を船尾側に移動させる。作動筒に固定された摩擦板押えが後進摩擦板をハウジング(C)に圧着させる。その時ハウジング(B)と作動筒間の油は切換弁を経てクラッチケース油溜に戻る。

4] クランク軸に直結されて回転しているハウジングは摩擦板を回転させ後進軸を回転させる。

5] 後進軸は後進歯車、中間歯車を介し大歯車(推力軸)を回転させるので推力軸は、クランク軸と同一方向に回転する。

6] この時、前進軸は遊転する。

(2) 油圧湿式多板並列形減速逆転機

油圧湿式多板並列形減速逆転機は中小形高速機関に最も多く用いられている減速逆転機であり、以下標準形のものについて説明する。

 

 

 

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