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小形の低速機関では弁案内を直接シリンダヘッドとする場合もあるが、一般には摩耗時の交換を考慮して、ねずみ鋳鉄等の弁案内をヘッドに圧入している。

(2) 点検と整備

運転中の熱により弁棒が膨張するためその分を見込んで適正なスキマが得られるように設定されている。弁案内の摩耗によりスキマが限度以上に多くなるといろいろな不具合を生じるため弁案内、内径を2・58図の3箇所でA、B方向に小径のシリンダゲージを用いて測定し、整備基準に示す限度以上になっている場合は弁とともに弁案内も新品に交換する。弁案内内壁に縦傷やその他損傷がないか点検する。弁案内に弁棒を入れて、軽く上下に円滑に動き、左右のガタが少なければ良い。

なお、ステムシールは、弁案内から分解した場合は必ず交換する。

 

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2・57図 オイル下り防止

 

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2・58図 弁案内内径計測位置

 

3) 弁腕(ロッカアーム)

(1) 構造と機能

2・59図に弁腕の構造を示す。弁側の潤滑油は弁腕上面にあけた油孔からの間欠注油がアームを伝わり弁棒に達する。弁押棒側は、弁腕軸より弁腕の下側の穴または弁間隙調整ねじ中心に潤滑油が供給され弁押棒両端部を潤滑する。

弁腕には曲げモーメントが働くので、機械的強度、剛性を十分有するとともに軽量であることが必要である。弁押し棒又は弁棒端(バルブステムエンド)との接触部は点、線あるいは面であり、両者が直角に接触する時以外はすべりが生ずるので接触部は焼入又は、チル硬化によって硬度が高められている。従って弁腕の材料としてはパーライト可鍛鋳鉄、または鍛造材等を使用し、弁との接触部には表面硬化処理を施してある。

 

 

 

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