ピストンリングの厚さおよび巾は合口の両端付近と中央部の3箇所をそれぞれマイクロメータで測定し摩耗限度を越えているものは交換する。
なお、バレルフエースリングやテーパリングについてはライナとの摺動面の当り幅が広くなるとオイル消費が多くなるので一般的には当り幅によって交換している。
6) ピストンピン
(1) 構造と機能
ピストンピンはピストン頂面で受けた燃焼ガスの圧力を連接棒を介しクランク軸に伝えるものである。このためピストンピンには、曲げと高い軸受圧力が働くので表面硬度を高めうる靭性の高い材料を使用し剛性を高める形状とする必要がある。一般には中空の肌焼鋼あるいは特殊鋼に、表面焼入して使用する。ピストンへの取付は浮動式すなわちピストンピンをピストンにも連接棒にも固定せず、運転時には自由に回転できるようにした方式が採用されている。ピストンのピン孔部には軸受メタルがなく、連接棒小端部にのみ軸受メタルが使用されるのが一般的である。ピストンピンの両端には、ピストンピンがピストン孔から抜け出さないよう2・46図に示すサークリップあるいはスナップリングが使用されている。また大形機関では、ピストンピン蓋などで抜け出しを防止しているものもある。