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アンダサイズに研削修正する場合はジャーナル部とピン部の中心間距離を変えぬようにまたジャーナル幅やピン幅を広げぬように、さらにアーム部付け根部のフィレット部(隅肉部)のRを変えぬように注意しなければならない。なおアンダサイズに研削する場合はピン部やジャーナル部の表面硬度が許容範囲に入っているか否かを事前に十分検討した上で実施することが必要であり、油孔の周辺についても十分丸味を持たせるように修正する。現地での緊急修復処置として行うジャーナル部やピン部の溶射肉盛りは十分実績のある専門工場へ依頼すると共に仕上り寸法などを十分指示することが必要である。

(ニ) 傷、錆、その他

ジャーナル部やピン部の傷については、傷が深い場合は交換するかアンダサイズに研削修正して使用する。なお、比較的浅いものについてはかえりを油砥石で修正する。

錆や腐蝕についても十分点検し軽度なものについては細かなサンドペーパで取除き油砥石で修正する。

バランスウェイト取付けボルト部の弛みについても点検する。弛みがあった場合は必ずメーカーの指示を受け、整備すること。

 

2) 主軸受、主軸受メタル、スラスト軸受

(1) 構造と機能

主軸受はクランクケースの隔壁部に十分な剛性を持たせるようにリブで補強されたボス部に、主軸受キャップと共加工で精密ボーリング仕上げされ、主軸受メタルが納まるハウジング部分で、主軸受メタルを介して、クランク軸を支持する。

主軸受キャップは、合せ面がズレないようにノックピンやインロ式又はセレーション式で位置決めされると共にクランクケースとの組合せ番号が打刻してある。

主軸受メタルは主軸受ハウジング内に納められ、クランク軸のジャーナル部を支え円滑に回転させる軸受で、中高速機関では薄肉形が一般的である。軸受メタルとしては2・22図に示すようなホワイトメタル(錫鉛合金)、ケルメットメタル(銅鉛合金)、アルミメタル(アルミ錫合金)などが多く用いられている。これらのメタルは取外した状態では軸受孔より直径がやや大きく(張り代)締付け前には合せ面がわずかにとび出しており(クラッシュハイト)、主軸受キャップを規定トルクで締付けると軸受ハウジング内面に密着し真円となる様になっている。また2・23図に示すようにクラッシュ不適による軸受端部の盛上がりを防ぐためクラッシュリリーフをつけ、更にハウジング変形による当り不良ならびに油膜切れ防止のためオイルリリーフをつけている。

 

 

 

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