日本財団 図書館


2.6 部品の在庫管理

船主が評価するサービスの善し悪しは、技術員(整備士)の対応と部品供給で決まる。すなわち整備または修理の依頼があった時、技術員の対応ができても、部品供給が遅ければ船主の評価は悪くなる。部品の在庫を増せば、充足率はよくなるが、これは経営面からはよいとはいえない。在庫量を少なくし、部品供給をよくすることが最善の方策である。そのためにはメンテナンス部品は扱い機種と扱い台数及び過去の実績をもとに、在庫量と発注基準を決め管理する必要がある。また、定期的な整備に必要な部品は、船主ごとに、次回整備時期に合わせ、前回の部品検査データ及び機関履歴簿を参考にして、必要部品の一覧表を作成し、事前に発注し、準備しておくことが望ましい。

 

3. 資料の管理と関係書類の作成

整備工場において必要とする資料、並びに書類には、次に示すようなものがある。これらの資料及び書類は機関の整備、修理、さらには、後々のサービスを行うために是非とも必要なもので、かつ大切なものである。したがって、その活用、保管については責任者を決めて、徹底した管理が必要である。

 

3.1 取扱説明書、整備解説書(マニュアル)等

機関の整備、修理作業のためには、整備しておかなければならない必要な資料である。

その内容を理解した上で整備にかかるとともに、部品の良否の判定は、このマニュアルにもとづいて行わねばならない。また、船主に機関の正しい取扱を指導することも整備工場の重要な努めである。したがって、少なくとも取扱機関の題記の資料は、全て揃えておく必要がある。なお、サービスニュース等も備えておくのが望ましい。さらに、取扱説明書などにより取扱機関の特長と使用方法を十分熟知しておくことが必要である。

 

3.2 検査関係資料

1) 検査規則

船舶安全法の下では、沿岸より12海里以内で操業する20トン未満の漁船を除き、殆んどの船舶の機関について定期検査(初めて航行の用に供する時と船舶検査証書の有効期間が満了した時に行う精密な検査で航行区域、船舶の長さ、用途等により5年または6年ごとに行う)および中間検査(定期検査と定期検査の中間に行う簡易な検査)時に精密な検査を行う旨定めており、また機関の修理、改造等を行った場合には臨時検査を行うことが決められている。この種の検査を受検する際にはその検査の方法および内容を十分知り、万全の準備をしておく必要がある。準備不十分のために受検が遅れ、工期が延び、船主に迷惑をかけることのないよう、扱う船に適用される検査規則および細則は全部そろえて、事前に十分熟知しておかなければならない。また不明な場合は、その都度調べる必掛けが必要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION