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はじめに

 

舶用機関の定期的な整備は、船舶の安全航行を確保するための基本であり、整備作業に従事する技術者の技量水準を維持、向上させることは極めて重要な意義を有する。特に、近年では、舶用機関の高度化の進展、整備業務の陸上移管の進行、予防整備に対する要請の高まり等により、整備技術者に対しては、より高度な技術と幅の広い知識が求められている。

しかしながら、多くの機関整備事業者にとって、個々にその技術者に対して機関整備に係わる体系的な知識を習得させることは困難であり、業界の整備技術水準の維持、向上という観点から、舶用機関整備士資格検定制度の担う役割はこれまでにも増して大きなものとなっている。

このため当協会においては、平成7年7月の設立以降、舶用機関整備士の資格検定事業を、整備事業者の技量水準向上のための中心的な事業として位置づけ、その内容の充実に取り組むこととした。具体的には、平成5〜6年度に(社)日本舶用工業会において実施した「舶用機関整備業の活性化方策に関する調査研究((財)日本船舶振興会・補助事業)」の結果を踏まえつつ、特に以下の点に留意しながら制度の見直しを行っている。

1] 高度な技能・知見を有するリーダを育成すること

2] 試験の内容を日々の業務に密着したより実務的な内容とすること

3] 更新講習の内容を充実させ細心の知見の取得を図ること

 

今回の1級舶用機関整備士制度の運用開始は上記1]の課題に対応するためのものであり、このため、本指導書の作成にあたっては従来の2級及び3級用指導書を基本としつつ、より高度な内容を盛り込むとともに、整備作業全般の管理者として備えておくべき知識についても触れることとした。

本指導書は1級舶用機関整備士資格受験者の指導書として作成されたものであるが、内容的には整備技術者が知りおくべき関連知識を幅広くとりまとめたものであり、1級舶用機関整備士資格の受験者のみならず、多くの整備技術者が日常の整備作業において幅広く活用して頂ければ幸いである。

なお、本指導書は、日本財団から多大なご支援をいただき心から御礼申し上げるとともに、作成にあたりご指導ご協力をいただいた関係者各位に対して深く感謝申し上げる次第である。

 

社団法人 日本舶用機関整備協会

 

 

 

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