4] 行政の役割
a. 会の立ち上げ、朝倉エコミュージアム構想の啓発、専門家の派遣
「明日の朝倉を考える会」(仮称)の設立への働きかけ及び立ち上げ当初の運営支援は行政が主導することが必要となる。町民に対し、エコミュージアムの考え方やまちづくりへの効果などの啓発活動や、活動方針の助言や専門家の派遣や活動への支援、「考える会」からの提案を政策へ反映する等のコーディネーターとしての役割を果たす。
ただし、5章のエコミュージアムの解説部分でも参考文献の引用を紹介したが、「エコミュージアムは、行政と住民が一体となってつくっていくものということが重要であるが、この概念はもともと<中略>住民参加の土壌が定着しているフランスにおいて提唱されたものであり、そうした土壌が未確立な日本においては“行政と住民の一体化”が結果的に「行政主導による住民の統合に成る可能性が高い」(「エコミュージアム〜21世紀の地域おこし(第二章 岩橋恵子執筆)」(社)家の光協会)点に留意することも必要である。あくまで活動の主体は住民であり、行政は住民主導のまちづくり実現のための支援という考え方を明確にし、やる気のある住民の出現状況に応じて、徐々に主導権を住民に移行するなど柔軟な対応が求められる。
b. 堀川用水沿いの交流拠点における運営主体公募のアナウンス
本調査研究では、「堀川用水沿いの交流ゾーン」における交流機能の運営主体に企業組合を想定している。既述のように、この企業組合は「考える会」の活動過程で、ビジネスを志向する住民により設立されることが期待される。このような動きを加速させるためにも、行政として「堀川用水沿いの交流ゾーン」の運営主体を公募する旨のアナウンスを行い、町民にインパクトを与えていくことも必要である。
c. 朝倉エコミュージアム庁内連絡会の設置
朝倉エコミュージアム構想の実現に向けての総合的、効果的な政策形成及び事業化の推進のために、庁内に企画財政係を窓口として、農政、観光、産業、文化財等関係部署の実務担当者から構成される「朝倉エコミュージアム庁内連絡会」(仮称)を設置する。「考える会」との連携・協働関係を視野に入れ、行政による一体的な支援のあり方や、「考える会」等の提案事項への対応、事業化可能性の検討について行政側も協働体制を確立する。