b. 国の指定状況による制約
現在、水車群は堀川用水と一体となって「史跡」として国の指定を受けているが、史跡の維持補修に必要な補助金制度がなく、維持改修費用の経済的な支援は受けられない。また現状変更を行う際には文化庁の許可が必要等の規定があり、柔軟な利活用が困難な状況である。
3] 水車の維持管理の考え方と保存方策
〜利用と維持管理を分離し、町民全体で将来へ継承〜
18世紀から現在も実働している水車群は、農業の生産行為を通じて培われた朝倉町の文化を象徴するものであり、朝倉エコミュージアム構想の核となる重要な地域資源である。今後朝倉町の共有財産として積極的な利活用を展開する際には、まず水車が水田への用水供給という従来の役割だけでなく、真に地域住民の誇りや安らぎの象徴となり、都市住民の農村への憧憬を訴求するような魅力を備えなくてはならない。
その上で水車と関連とした経済活動の成果のみならず、精神的な効用も含めて、水車から受益し、水車を愛するより多くの人々の善意や情熱で守り、育てていく維持管理のあり方を検討することが望ましい。以下に保存方策例を示す。
「水車基金」(fund)の創設
○5年に1度の水車の作り替え時期に、大規模な交流イベント「水車供養祭」(仮称)を開催し、お祭りの寄付金、募金を各戸、企業から集める。その際に屋台や特産品販売、コンサートなどの収益事業を行い、収益の一部を維持管理費用の一部に充てる
○既存の水車関連行事への出店料あるいは収益の一部の寄付を呼びかけ