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(2) 安心して暮らせるまちづくりの必要性

1] 農業の転換期、雇用の場の確保や後継者問題が各産業共通の悩み

雇用吸収力の高い工業も農振地域の指定など土地利用の制限があり、工場立地等が困難な状況であり、リーディング産業の農業も主産品(ねぎ、柿)の競争激化による収益減や後継者問題等が既に顕在化している。

 

2] 交通弱者は日常生活の暮らしにくさを指摘

本町は、県計画等で「福岡都市圏との利便性を活かした快適生活圏」と位置づけられているが、福岡都市圏の外延化が既に近隣町村まで及んでいるにもかかわらず、町内の人口、労働力、消費の町外への流出は著しい。

住民は「車がないと生活できない町」と暮らしにくさを指摘しており、商業機能は脆弱で消費の6割は町外で行われている。町内に鉄道駅はなく、公共交通機関はバスのみで、車を持たない(持てない)高齢者等の交通弱者には買い物や、病院への通院など日常生活を送る上でも深刻な問題となっている。

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生活者の視点から、住み続けたい町として「住む」、「働く」、「遊ぶ」等がバランスのよく揃ったまちづくりを目指す必要がある

 

(3) 住民意識の向上、住民と行政の協働によるまちづくりの必要性

1] 住民の課題 〜地域資源やまちづくりに対する意識の向上〜

町民の大半は、斉明天皇のゆかりの史跡など歴史的に非常に価値のある地域資源に対する知識や関心が低く、日常生活でも水車をはじめとする朝倉固有の資源への関わりはほとんどない。特に地域資源の保全・活用には行政頼りの傾向がみられた。知識の貧しさ、関心の薄さが保全、活用に対して距離を置くような姿勢となって表れているのではないか。

 

2] 各種団体・機関の課題 〜時代や価値観の変化に対応した使命の見直し〜

長い活動の歴史をもつ団体組織では、若年層の町外流出や価値観の変化による会員減少により活動内容の再構築が検討されている。団体設立当初の目的と現在の組織に求められている使命や会員ニーズとのギャップをいかに埋めていくかが課題である。一方で「生涯学習を進める甘木朝倉女性会議」など、個々人の自発的な問題・目的意識から発生した団体は活発に活動している。社会や地域の役に立ちたいという意欲をもつ人も多いが現状ではその意欲を受け止める組織や仕組みがないという指摘も多くあった。

 

 

 

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