本町においても、まちづくり事業の運営推進体制を構築する際には住民主導、自立を前提とした住民と行政の協働関係の確立が望まれる。
(3) 本物志向、独自性の追求がリピーターや支援者を集め、郷土の誇り意識を醸成
「のどか村」は、通年の収穫農園を整備し、生産農業でとれた野菜を使用してのレストランメニュー開発等地産地消に努め、あくまで農業生産へのこだわりを重視した経営方針のもとに、レジャーランド化する近隣のファームパークとの差別化を図っている。「日本1/0村おこし運動」では「集落(村)の誇り(宝)」づくりのために「村資源(種)の発掘」を行い、集落の特色を活かした活動を展開している。「黒壁」においては日本では未成熟なガラス市場に着目し、ガラスの目利きや制作技術者を重点的に育成し、欧米の本格的なガラス文化の伝播を図ることでガラスファンを増やし、国内のガラス市場そのものの拡大を図った。また空き店舗に独自性を持たない土産物屋は入れず、大資本と棲み分けできる商品力を持つ店に限定した。
いずれも共通しているのは、市場動向や消費者は何を求めているかなど、徹底したマーケティング志向と、それに呼応した明確な経営(運営)理念を持ち、地域の独自性や特色づくりにこだわる姿勢がリピーターや外部の支援者(ファン)を呼び、それが住民たちの郷土に対する誇り意識へとつながっていく好循環が生まれていることである。
本町においても、まちづくりの各種事業を実施する際にはまず地域資源を十分に認識した上で、市場動向や利用者ニーズをふまえた理念を構築し、事業の成功が地域住民の生活を精神的にも、経済的にも豊かにし、町内外の理解者・支援者を増やしていく好循環を産み出すものでなければならない。